優しい心を育むカトリック教育

2018/12/04

BULLETIN 12月号 「台湾英語研修」

本校では学年全体で行く海外研修が三つあります。その最初が中学2年生の「台湾英語研修」です。初めて海外へ行く生徒も多いですから,パスポートを取るところから始まります。海外研修は国内旅行とは違う緊張感がありますから,生徒本人も保護者の方も不安があると思います。しかし,その緊張と不安を体験することも海外研修の一つの意味だと考えています。

今年は11月13日から17日までの4泊5日で例年と同じく台北へ行きました。残念なことに今年は38名と過去一番少ない参加者になりました。サッカー部の決勝戦が帰国日に重なったため,部員10名が欠席したのが一番の要因です。しかしながら,サッカー部は見事勝利し,大阪府秋季大会で4連覇という偉業を成し遂げてくれました。帰りの台北空港で生徒たちに勝ったことを伝えると,拍手と歓声が沸き起こりました。うれしい一体感でした。本当は皆で行きたかったという気持ちを生徒たちも持っていたでしょうから。

私は出発前日の結団式で,「本校には3回の海外研修があるが,この台湾がスタートだ。ここでマナーをしっかりと身につけ,よい体験を積むことが後の2回にもつながる。」と話しました。生徒たちはその言葉に応える5日間を過ごしてくれたと思います。まず,往きの飛行機のマナーに関して,担任が「あたかも自分一人で海外へ行っているかのように感じるほど,皆に注意することがなかった。」と生徒を誉めました。少ない人数だったということもあるでしょうが,集合の時に集中して先生の話を聴く態度を見て,これができるから生徒が規律ある行動が取れるのだと改めて感じました。

今回の研修で私は二つの学校を訪問しました。一つは15日に生徒たちと訪問した光仁高級中学です。4年続けての交流ですが,オープニングセレモニーをはじめ温かい歓迎を受けました。本校の生徒たちも全員で「ソーラン節」を踊るなど,精一杯のパフォーマンスを見せてくれました。この歓迎式の中で,障がいを持った生徒たちのクラスがダンスを披露してくれました。私が3年前に訪問した時もそうでした。その時,この生徒たちの教育に携わることはカトリックミッションスクールの使命だと考えています,と校長先生がおっしゃったことをよく覚えています。今回,この生徒たちの授業も見せていただきました。生徒たちは,製菓,木工,園芸,部品作り,清掃と社会に出た時に役立つ技術を習っていました。何度も繰り返して教えないと分からない生徒もいるそうですが,真剣にそして明るく取り組んでいます。先生たちの愛情あふれる姿を見て,この学校の教育の原点を見る思いでした。

もう一つは16日に六和高級中学を訪問しました。こちらは桃園市にある全校生2,500名を超す中高一貫校です。本校が台湾英語研修を始めた2012年に生徒たちが訪問しました。それ以後は学院長と私が3年前に訪問したきりになっていました。反対に六和からは日本語クラスがあることもあって,毎年賢明へ来てくださっています。今回も今年2月に来日した生徒たち全員が出迎えてくれました。この生徒たちや先生方が小さいながらも歓迎セレモニーをしてくださり,温かい気持ちを強く感じました。セレモニーが終わってから校長先生を先頭に校内を案内していただきましたが,生徒たちも一緒に回り笑いが絶えない時間になりました。両方の学校に感じることは,人と人とのつながりを大切にしたいという気持ちです。両校の校長先生も生徒たちも,古くからの友人を迎えるかのように歓迎をしてくださいました。15日の交流で生徒たちも感じたでしょうが,「仲良し」であることは私たちにとってどれほど心地よいことでしょう。