優しい心を育むカトリック教育

2017/03/04

BULLETIN 2月号② 「チャレンジ」

46期生が巣立つ高校卒業証書授与式が近付いてきました。式辞に私からの贈る言葉を込めたいと考えていますが,今日の内容もそんな想いを書かせていただきます。

実はこの原稿をM3オーストラリア研修旅行の帰路,機内で書いています。この研修旅行の様子はホームページに毎日報告しましたし,校長ブログでも取り上げました。M3の保護者以外にも読んでくださった方があるかもしれません。そのブログのタイトルの一つに「チャレンジ」があります。生徒たちが様々なアクティビティに挑戦しました。そして,私も。

ブログと重複するところがありますが,アブセイリングのことを書きたいと思います。アブセイリングはロープを使って絶壁を降りるスポーツです。私も初めて経験しました。ロープは自分で操って降りるロープが1本とインストラクターが安全確保のために持ってくれているロープが1本です。ですから転落事故が起きる心配もないわけです。ところが,崖の角に立っていざ降りる時に,すごい恐怖感が沸いてきました。正直,最近感じたことがない怖さでした。それで,生徒たちの前で格好悪いとは思いましたが,「止めます」と言いました。そしたら,周りの何人かができますよと励ましてくれましたし,インストラクターが優しく「まず右足をこの岩の上に置いて,次に左足をこちらの岩に置いて,体重をゆっくり後ろにかけてください」と具体的なアドバイスをしてくれました。降り始めると怖さもなくなり,それほど苦労せずに10何メートルの崖を降りることができました。

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今回の出来事は私にとって考えさせられる体験でした。人が困難にぶつかった時,適切なアドバイスがいかにその人を助けるか,危機に陥ってもパニックにならずに対応すれば必ず道が開けること,一歩を踏み出す勇気を持つ大切さ,そして,自分が乗り越えた困難は次の機会にはさほど大きな困難ではなくなることなどに気付かされました。さらに今回のことは私がチャレンジしなければ経験していないことでした。前日からチャレンジするか迷っていましたし,もしあの崖の上で止めてしまえば悔いだけが残ったでしょう。

 私は決してチャレンジ精神が旺盛だとは思っていません。しかし,これをやると決めたらやる方だと思います。例えば,生徒たちが研修旅行で経験するアクティビティで,HⅡのラフティングも通信制課程のマングローブカヌー体験も挑戦しました。でも,これらは楽しい想い出として残っていますが,何かを感じ取ることはありませんでした。

 卒業していく46期の生徒たちが,自分は到底できないと感じる困難に尻込みせずにチャレンジしてほしいです。自分だけの力で無理なら適切なアドバイスを素直に受け入れてほしいです。

チャレンジする前にあきらめるのではなく一歩を踏み出す勇気を持ってほしいです。私たち人間は未知のことにはどうしても恐怖を感じます。しかし,一度経験すればどう対応すればよいかを学習します。チャレンジする人は,この解決法を次々と自分の身に着けていくことができます。チャレンジしない人はいつまで経っても大人になれないのかもしれません。