優しい心を育むカトリック教育

2019/07/23

BULLETIN 7月号② 「長崎」

今年は梅雨明けしないまま,本日1学期の終業式を迎えました。この1学期間,保護者の皆様の賢明教育に対するご理解,ご協力を心から感謝いたします。

校長ブログでは取り上げましたが,「全国カトリック学校 校長・教頭合同研修会」が,今年は6月20,21日に長崎で開かれました。長崎は私が一番好きな街で,今までに20回以上訪れています。キリシタン,原爆投下,出島など日本の歴史を振り返る上で重要なポイントが揃っている街ですし,チャンポンや皿うどんのような食文化も楽しめる街です。私は太麺の皿うどんにはまっていますので,長崎へ行けば必ず食べます。 

今回の研修でキリシタンに関する講演を2つ聴きました。どちらも私の知識を増やしてくれましたし,深い内容でした。それと共に2日目の外海(そとめ)地方への巡礼も心に残りました。私にとっては何度目かの再訪ですが,考えさせられるものがあります。3つのグループに分かれてバスで外海へ向かいました。私たちのバスは,まず黒崎教会へ行きました。この教会は遠藤周作の小説『沈黙』の舞台となった黒崎の地に建つ教会で,内部はリブ・ヴォールト天井とステンドグラスが印象的でした。近くに遠藤周作文学館があります。ここも以前に訪れたことがありますが,昨年展示内容がリニューアルされて見学時間が足りませんでした。改めて彼の人生と文学を振り返ると,キリスト教と共に病気で何度も死に直面したことが根底にあると思いました。 

出津(しつ)教会ではミサが行われました。この教会は土木,建築,医療,印刷,産業と万能の働きをしたド・ロ神父様が建てたものです。出津は「陸の孤島」と呼ばれた田畑を耕す土地もない「潜伏キリシタン」の里です。1879年にここに赴任したド・ロ神父様は人々の貧しい生活を見て,魂の救済だけではなく人々の生活の向上を目指して様々な取り組みをされました。その一つが,今でも長崎の土産品として有名な「ド・ロ様そうめん」です。

さらに,6月25日に中高宗教部会研修会でキリシタンについて学ぶ機会がありました。上智大学の川村信三神父様が講師で,1865年3月17日の「信徒発見」をテーマにお話ししてくださいました。そこで私も初めて知ったのが,「潜伏キリシタン」が教会もなく神父もいないのに何故250年信仰が守れたのか,また,何故カトリック教会に戻ることができたのかという理由でした。そして,それは教会に戻らず「かくれキリシタン」となった平戸,生月の人たちとの違いでもあります。実は今年,私は保護者対象に「キリシタンの信仰」という講座を月に1回開いています。もし,ご関心のある方は2学期からでもご参加ください。キリシタンの生き方に現代の私たちへのメッセージがあると思っています。キリシタンのことを知って世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を回られたら,より深い体験ができるのではないでしょうか。

明日から始まる長い夏休み,生徒たちが目的をもって過ごすことを願います。健康には十分留意して,勉強にクラブ活動に個人の体験にTHE BESTの精神で取り組み,全員が2学期の始業式に元気で登校できることを切に願います。

最後になりましたが,保護者の皆様もこれから暑い毎日が続きます。どうぞ,ご自愛ください。