優しい心を育むカトリック教育

2019/09/08

BULLETIN 9月号 『科学者はなぜ神を信じるのか』

9月に入って1週間が経ち,生徒たちも学校生活を送るリズムに慣れてきたと感じています。今年の夏は8月に入って急に猛暑になった印象があり,暑がりの私は大変でした。でも,子どもの頃から夏バテも夏ヤセもしたことがないので,今夏も2キロ体重が増えてしまいました。

夏休みの間,クラブや個人の活躍があり,中でも中学サッカー部の近畿大会準優勝,全国大会初戦突破ベスト16はうれしかったです。観戦記は校長ブログに書きましたのでここでは繰り返しませんが,その活躍に心から拍手を送りたいです。うれしいニュースと言えば,先週の堺市総合体育大会で中学女子バレー部が優勝したのもそうです。女子バスケットボール部も3位と活躍しました。

私の夏休みは,例年よりも休めました。相変わらず出張は多かったですが,家でやろうと思っていたことを結構クリアしました。一番時間を使ったのは,「ワイルド・スピード」のDVD8巻を特典映像まですべて観たことです。30時間以上かかりました。最新作も映画館に観に行きましたが,実はこういうスカッとする映画が好きです。

残念だったのは本が余り読めなかったことです。積読してある本をもっと読みたかったのですが,DVD鑑賞に時間を取られ過ぎました。読んだ本の中で取り上げたいのは,始業式でも紹介した名古屋大学名誉教授三田一郎先生の『科学者はなぜ神を信じるのか』です。「コペルニクスからホーキングまで」とサブタイトルが付いているのですが,著名な科学者の学説が実に分かり易く説明してありました。中でも興味深かったのはコペルニクスです。地動説はガリレオが有名ですが,最初に地球が太陽の周りを公転していることを発見したのはコペルニクスです。司祭でもあったコペルニクスは地動説を公にするのはためらいがあったようですが,1510年に同人誌にそれを発表しました。ガリレオが生まれる50年以上前です。教会は特に咎めませんでしたが,コペルニクスを激しく非難したのが何と宗教改革のルターです。カトリックの司祭が地動説を唱えるのは,聖書の記述と違うと主張しました。コペルニクスは1542年に地動説の集大成『天球の回転』を書きあげましたが,出版されるのを待たずに息を引き取りました。しかし,この著作は科学の扉を大きく開いたのです。

量子力学の分野まで読み進めるとだんだん理解ができなくなりましたが,科学の本を読むのは久しぶりだったので興味は尽きませんでした。そして,著者は「なぜ神を信じるのか」について自身の答えとしてこう書いています。

「私は幼い頃にカトリックの洗礼は受けていたものの,宗教にはほとんど関心がないまま,ずっと研究に没頭してきました。ところが50代にさしかかったときに,宇宙とはなんとうまくできているのだろうかと,感動をおぼえました。このようにうまくできている宇宙が,誰かがつくったものでないはずがないと思ったのです。私が神の存在を信じるようになったのは,それからでした。」