優しい心を育むカトリック教育

2016/12/24

BULLETIN 12月号② 「人権学習」

この14日に「私の歩んだ道~見えないから見えたもの~」と題して,人権学習講演会が行われました。講師は社会福祉法人岡山ライトハウス理事長の竹内昌彦先生でした。午前は中高生に,午後は教職員対象にお話してくださいました。午後の講演会は保護者の皆様にもご案内しましたので,ご来場いただいた方もおられました。

竹内先生は1945年中国天津のお生まれ,引き揚げ船の中で肺炎の高熱のために左目を,小学2年生の時に網膜剥離で右目を失明,全盲となられました。翌年から盲学校で学ばれ,あん摩マッサージ指圧師免許などを取られて高校を卒業されましたが,教師になる夢を実現するために東京教育大学へ進学されました。卒業後は岡山県立岡山盲学校で教鞭をとられ,在職中から各地で「いじめ」や「命の大切さ」をテーマに講演活動を続けてこられ,その回数は2000回を超えるとのことでした。

ご講演では岡山弁の親しみやすい語り口で,生徒たちの笑いを取りながらいろんなことを教えてくださいました。視覚障がい者の生活は自宅では困ることはほとんどないが,初めての場所では慣れるまでに時間がかかること。だから,皆さんもイライラしないでほしい。点字ブロックは1967年に岡山で初めて設置され,世界に広がった。この上に自転車を置かないでください。交差点などで困っている視覚障がい者を見かけたら,迷わず声をかけてください。

竹内先生

この時にどんな風に誘導したらいいか,生徒を一人壇上に呼んで実演してくださいました。障がい者が相手の肘を持つ形で誘導すると,階段に来ても肘の上がり下がりでそれが分ること。必ず弱い立場の人を右側にして守ることを話され,女子生徒に「これができん彼は付き合わん方がいい」という言葉には笑いが起こりました。また,横断歩道の「カッコー」は東西の道が,「ピヨピヨ」は南北の道が青であることも教えてくださいました。実は,私も以前から目の不自由な方はどうして自分が渡る側が青であるのを分るのか疑問に思っていました。

生い立ちを通してのお話で私が印象に残ったのは,先生自身が盲学校の生徒時代,懸命に勉強されていた時の担任の言葉,「みんなのために使えない100点は意味がない」でした。これは賢明教育につながると感じました。また,立派な人とは自分のことを犠牲にしても,人のために自分を生かそうとする人。人に喜ばれる体験をしよう。やさしい目,やさしい心をもったやさしい人になろう,などの言葉が生徒たちに届いていることを願いました。

そして,命の大切さについて,命は自分一人のものではない。脳性小児麻痺のご長男を亡くされた経験からも,生きたくっても生きられなかった人がいるのだから自ら命を絶っては駄目だと強く訴えられました。私たちの日頃の教育に通ずるお話が多く,また機会があればもっと多くの保護者の方にもご講演を聞いていただきたいと感じました。

さて,今日で2学期が終わりました。明日から冬休みとなり,クリスマス,お正月を迎えます。今号ではクリスマスのお祝いに触れることができませんでしたが,学校のホームページで11月から校長ブログを始め,そちらに載せています。ぜひご覧ください。

よいクリスマスと新年をお迎えください。