優しい心を育むカトリック教育

2017/03/24

BULLETIN 3月号 「式辞」

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卒業式のシーズンです。私も3月1日の高等学校全日制課程卒業証書授与式,4日の通信制課程卒業証書授与式,そして本日の中学課程修了式と3回,生徒たちの巣立ちを祝います。これに学院の小学校と幼稚園の式にも出ますが,こちらは参列するだけですので気持ちは楽です。3回の卒業式で何が大変かというと,やはり式辞を考えることです。しっかり覚えるわけではありませんが,なるべく原稿を見ずに話したいと思っています。今年はこの式辞を校長ブログに載せましたので,すでに保護者の方で読んでくださった方もおられるかもしれません。式に出席された方は,当日と内容が少し違うと感じられたかもしれません。それは先に書いたように読むのではなく,卒業生たちに語りたいと思っているからです。

 すでに終わった二つの式で,当然式辞は違うものを準備しましたが共通の部分もありました。それは次の個所です。

「皆さんは賢明学院というカトリック学校で何を学びましたか。私は,人生は選択の連続だと思います。そして,大きな選択の根底にはその人の価値観,人生観,人間観があります。人生で何が大切なのか,自分がどんな人間になりたいのか,そのような大きな問いに対するヒントが賢明学院には沢山あったと思います。

イエス・キリストの生き方もその大きな道しるべです。私はイエスを,歴史上,人間の尊厳を最も深く理解し実感し,それに基づいて行動した人と紹介したいです。私たちも人間の尊さは分っています。でも,足りません。イエスのように見捨てられた人であろうが,不必要だと思われている人であろうが,そこに人間の尊さを明確に感じることができるなら,きっとイエスに近付けます。創立者マリー・リヴィエがそうであったように。

今,世界が自分たちを守ることを第一に考える流れになっています。その中で,イエスの生き方に倣うことは難しいかもしれません。しかし,自分が損をすることがあってもそれを損とせず,喜んで相手のために自分を使う人間になってほしいと願います。」

 今日の式辞は違う内容を用意しましたが,上に書いた内容は中学校生活を終え次のステージへ進む中学3年生にも伝えたいことです。賢明学院高校へ進学しない生徒にとって,人生でキリスト教に触れるのはこれが最後のチャンスかもしれません。そんな生徒の心にイエスの一つの言葉,マリー・リヴィエの一つの言葉が残り,人生の道しるべになれば本当にうれしいです。

 最後になりましたが,この1年間,保護者の皆様の本校の教育に対するご理解,ご協力を心から感謝申し上げます。校長として足りないところが多々あったと思いますが,保護者の皆様は暖かく受け止めてくださったと感じています。来年度は新たな挑戦,新たな課題の解決に向けて全力を尽くさなければならないと1年になると思いますが,どうぞよろしくお願いいたします。