優しい心を育むカトリック教育

2017/05/29

BULLETIN 5月号 「聖母月の集い」

今年も「聖母月の集い」が5月13日に行われました。毎年言っていますが,同じミッション・スクールでも,プロテスタント校ではマリアの行事はありませんので,この聖母月の集いは最もカトリック校らしい宗教行事です。小学校では12日に,幼稚園では19日にそれぞれマリアをたたえる行事がありました。

聖母月の集いが近付くと生徒たちが花を持って登校します。男子生徒が花を持ってくるのは照れくさいところもあるでしょうが,それでも持ってきてくれるところが賢明生らしいと思います。生徒たちが持ってきた花はクラスごとに花瓶に活けられ,マリア像の周りに飾られます。

集いはまず高校Ⅲ年生のクラス代表が,「アヴェ・マリア」の独唱の中,ロウソクを奉献します。続いて,「アヴェ・マリアの祈り」を全員で祈り,聖歌「あおばわかばに」を歌います。そして,クラス代表がマリアの象徴とされる百合の花を捧げます。この時には,吹奏楽部がマリアの聖歌を演奏してくれます。男子生徒も女子生徒に負けない凛々しい姿を見せてくれるところも,流石に賢明生です。今年は通信制課程の生徒も32名が参加し,代表が百合を献花しました。私は中学生も高校の全日制課程の生徒も通信制課程の生徒も,賢明の大切な仲間であることをこのような行事で実感してほしいと願っています。

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 ルカ福音書1章26-38節の聖書朗読の後,シスター中西理事長先生が講話をしてくださいました。この箇所は有名な「受胎告知」の場面です。シスターはマリアにならう生き方を次のように話してくださいました。

 「神様は私たちに呼びかけ,語りかけて,私たちの自由な答えを尊重されます。神様の呼びかけに答えるかどうかは,まさに人間の自由にかかっています。この聖書の箇所が私にとって近付きやすいのは,マリアが何のためらいもなく承諾なさったのではなく,驚きと戸惑いを含めた心の変化が描かれていることです。聖霊によって身ごもるという非常識なことは,信仰深いマリア様でさえ信じられないことでした。『どうしてそんなことが』という当惑から『この身になりますように』という受諾までに経過がありました。

マリアの生涯を見るとき,この二つの言葉が絶えず心に思い起こされていたのではないでしょうか。予期せぬ出来事に突然出会うまず『どうしてそんなことが』と驚かれたことでしょう。けれど,いつも気を取り直して『お言葉のとおりになりますように』と,神様への大きな信頼の心で受け止め続けられたのではないでしょうか。私たちがマリアさまから学ぶべき点は,この二つの言葉の間の心の変化です。私たちの人生でも信じられないことが起きます。思わず『どうしてこんなことが起こったのか』と嘆いてしまいます。しかし,そこにとどまることなく,『この身になりますように』という信仰における受諾までたどり着けるかどうかです。」

講話の後で,お話を振り返りながら黙想しました。次に学年代表が共同祈願を祈り,一つひとつの祈りに皆で「聖母マリア,私たちのためにお祈りください」と唱えました。最後は,聖歌「あめのきさき」を歌い,祈りの集いが終わりました。カトリック学校でしか体験でないこのひと時が,一人ひとりの心に深く残ることを願います。