優しい心を育むカトリック教育

2017/07/26

BULLETIN 7月号② 「心に残る言葉」

夏本番を迎える中,本日1学期の終業式を迎えました。この1学期間,保護者の皆様の賢明教育に対するご理解,ご協力を心から感謝します。明日から始まる長い夏休み,生徒たちがどんな経験をし,成果を上げるか楽しみにしています。

今日の終業式で1学期を振り返る中,印象に残った言葉を生徒たちに紹介しました。

この学期の間,一番話題になった人物と言えば史上最年少でプロ棋士になった藤井聡太四段でしょう。連勝記録を次々伸ばし,ついに29連勝という金字塔を打ち立てました。テレビに映る彼の姿を見ていると,さわやかな印象と謙虚な言葉が心に残りました。そして,彼が新記録を作った日にテレビのニュースを見ていると,スポーツコーナーで水泳の坂井聖人選手が出演していました。皆さんもご存知のように,坂井選手はリオ五輪の200mバタフライで銀メダルを獲得しました。彼がこれまでの競技人生を振り返る中で,一つ年上の瀬戸大也選手に憧れて早稲田大学に進学したけれど,練習しても練習しても瀬戸選手に勝てなかった話をしていました。それである日,自分の生活の中で水泳に関係のないところを変えてみようと思ったそうです。例えば,落ちているゴミを拾うとか,そんなことを意識してするようになったそうです。そうすると,不思議とタイムが伸び瀬戸選手にも勝てるようになり,銀メダルにつながったということです。

今月,亡くなった二人の方の言葉も忘れられません。一人は13日に亡くなった中国の人権活動家,劉暁波氏です。劉さんは2010年,投獄中にノーベル平和賞を受賞しました。非暴力を貫いて民主化運動に参加し,政治改革を求めながらも「私には敵がいないし,憎しみもない」と訴え続けました。また,「私は最大の善意をもって政権の敵意と向き合い,愛をもって憎しみをやわらげたいと願っている」という言葉を残しています。彼はクリスチャンではありませんし,聖書を読んだことがあるか知りません。しかし,彼の言葉や行動はイエスとつながるものがあります。

もう一人は,18日に105歳で亡くなった医師の日野原重明氏です。日野原さんは父が牧師だったので,ご本人も洗礼を受けています。私は1度だけ講演を聴いたことがあります。その時の内容は忘れてしまいましたが,テレビに出演する日野原さんを見ていると,何故か生きる勇気をもらうような気がしました。「死ぬ瞬間まで人生の現役」の言葉通りの生きざまでした。私も密かに100歳まで生きたいと思っていますが,「成人病」を「生活習慣病」と改めるよう提唱した彼の教えを,まず謙虚に受け止め実行していかねばならないでしょう。

最後は白鵬です。1050勝という前人未到の記録を築き上げたこの大横綱は,少年時代に日本へやってきた時にはどの部屋からも声がかからなかったそうです。言ってみれば,最後方からのスタートです。入門を許した宮城野部屋も,こんな大記録を打ち立てる力士になるとは誰も考えていなかったでしょう。モンゴルには,「山が高いからといって引き返してはならない。行けば必ず越えられる」という諺があるそうですが,この言葉を生徒たちに送りたいです。特に高校3年生には,この夏休みに高い山を見る人がいるでしょう。チャレンジすることなく諦めてしまうのではなく,自分は必ず登り切れるという信念を持ってほしいです。

ちょうど1ヶ月の夏休み,勉強にクラブ活動に個人の体験にTHE BESTの精神で取り組み,生徒一人ひとりが充実した毎日とすてきな思い出を作る夏休みにしてくれることを願います。そして,何よりも健康に毎日を過ごし,全員が2学期の始業式に元気で登校できることを切に願います。

最後になりましたが,保護者の皆様も暑い毎日が続きます。どうぞ,ご自愛ください。