優しい心を育むカトリック教育

2016/12/04

BULLETIN 12月号 「一日静修」

11月21日は本校の創立記念日です。何故,11月に創立記念日がと思われる方もおられるかもしれませんが,1796年のこの日に創立者マリー・リヴィエが南仏チュエイで4人の同志と共に生涯を神様にささげる約束をしました。つまり,修道会が創立された日で,その日が聖母奉献の祝日でした。本校では創立記念ミサが行われ,それと共に「一日静修」という沈黙の内に自らを振り返り,自分の生き方を考える宗教行事があります。女子校時代は,全校生が体育館で座禅を組んだと聞いています。

今年はカトリック芦屋教会の川邨裕明神父様に来ていただきました。神父様は大阪教区高山右近列福運動推進委員会の委員長を務めておられます。保護者の皆さまへのご案内が大変遅くなりましたが,来年2月7日に大阪城ホールで列福式が行われます。

高山右近を戦国武将としてご存知の方もおられるでしょうし,大河ドラマを通して名前を知られた方もあるでしょう。右近は12歳で洗礼を受け,その後,数々の試練に耐え生涯信仰を守り抜きました。信長,秀吉も一目置く優秀な武将でしたが,地位も領土も財産も捨て最後はマニラへ追放され,その地で病死します。今年の1月21日に教皇フランシスコは,信仰に殉じた高山右近を列福することを承認されました。下の写真は,玉造教会の正面壁画「栄光の聖母マリア」に描かれている右近像です。堂本印象画伯の作として有名ですが,これとは別に大壁画の左隣にはマニラへ追放される右近の壁画もあります。

高山右近

静修では放送による最初の講話で,川邨師が右近の生涯を説明してくださいました。人間としても信仰者としても,人生の危機に何度も遭遇したことを話してくださいました。記念ミサの説教でも最後の講話でも,右近の生き方や信仰について深めてくださいました。最後の講話ではDVDも見せてくださり,ちょっとお話を難しく感じていた中学生もしっかりと見ていました。講話の締めくくりには,親友の大切さについて話されました。

毎年,静修は教室に戻ってから振り返りシートを書くことで終わります。今年はそれと共に川邨神父様から宿題が出ました。白い紙が配られ,右近の似顔絵を想像して描くか,右近を題材にした俳句,川柳,短歌のいずれかを書くことです。これは列福記念事業の一つとして募集されているものですが,全校生が応募したのですから優秀作が本校から選ばれるかもしれません。列福式の発表まで楽しみに待つことにします。

私は,人間には静けさを心地よいと感じる感覚を皆が持っていると思っています。賢明学院の一日の始まりと終わりの祈りの中である1分間の沈黙の時にも,それを感じます。その意味で一日静修がもっと沈黙の中で過ごせることを願っていますが,本校に入学したからこそ体験できる宗教行事の意味を一人ひとり分ってほしいです。そう言えば,記念ミサの共同祈願の中で,HⅡが北海道研修旅行で完全沈黙のトラピスト修道院での祈りの集いを,賢明学院へ来たから経験できたものだと祈ってくれたのはうれしかったです。

 

玉造教会の写真

玉造教会 b11_020806 15-takayamaukon